2022.04.24
本+マンガ
【ニコ☆プチWeb読書部】「5分後に意外な結末」シリーズ 担当編集さんにインタビュー
ニコ☆プチWeb読書部では、人気作品の制作ウラ側や誕生秘話を毎回取材!
今回は大人気「5分後に意外な結末」シリーズ。担当編集である目黒さんに、制作のウラ側や、もっと「5分後に意外な結末」が楽しく読めるポイントをお聞きしたよ。
――プチ読にも「5分後に意外な結末」シリーズが大人気で、「なんでもランキング2021」の好きな本ランキングでもランクインしています!
目黒さん ありがとうございます。たくさんの人に楽しんでもらえてとてもうれしいです。
――さっそくですが、この本のタイトルの「5分」には、どんな意味が込められているのですか?
目黒さん 朝読の時間に読んでもらいたいなというのが最初のスタートです。多くの学校では、10分くらいの朝読の時間がありますよね。朝読後も本の続きが気になってもやもやするより、「結末がわかってスッキリした!」と思えるものにしたくて、5〜10分で読み切れるお話を集めようと思ったんです。
――たしかに「5分後」シリーズは、1日の朝読で1、2本は読めてしまいますね。
目黒さん そうですね。それから、僕の感覚で5分は「ちょっと」に当てはまる時間。「ちょっと遅れる」とか「ちょっとテレビを観る」の「ちょっと」って、5分くらいのイメージ。そういう「ちょっとした時間」に読んでもらいたいという意味もあります。
――このシリーズを作っていて、大変だなあと感じることはありますか?
目黒さん やっぱり、読者を飽きさせないこと。
「5分後」シリーズのコンセプトは「読者を飽あきさせず、いい意味でだまし、裏切る」こと。色んな作品や表現方法を取り入れつつ、飽きない工夫を考えています。
シリーズでは、芥川龍之介あくたがわりゅうのすけや太宰治だざいおさむなど、昔の有名な作家の作品を「5分後」シリーズ風にアレンジして入れたりもしています。いろんな名作に出会えるのも、この本の特長だと思います。
――「5分後に〜」シリーズの制作ウラ話を教えてください。
目黒さん 『5分後に思わず涙。』というシリーズがあるんですけど、その制作はけっこう苦労しました。
¥1100/学研プラス
――どうしてですか?
目黒さん 「5分後に思わず涙」っていうタイトルだと、なんとなく感動的なお話っぽく感じませんか? イヤな人が出たり悪いことが起こったりしても、「どうせ最後にはハッピーエンドでしょ」と思って読んでしまいません?
――たしかに……。
目黒さん 作りながら、「このままじゃ全然だませないぞ!」と思いました(笑)。だからこの「涙」には、感動の涙だけではなく、くやし涙や悲しみの涙もふくむようにしました。ハッピーエンドの作品だけにはならないようにしたんです。
――読者が安心して読めないようにしたんですね。
目黒さん もちろん、安心しながら読みたいと思う人もいると思いますが、読者を飽きさせたくないし、できればいい意味でだましたい(笑)。そういう意味で、「涙」シリーズは苦労しました。
――「5分後」シリーズを初めて読むコにおすすめの一冊はありますか?
目黒さん 「まずこれを読んで!」というよりも、シリーズのいろんな本を読んでもらいたいですね。実は、シリーズを飛びこえてつながっているネタがいくつかあるんですよ。たとえば『5秒後に意外な結末』で起こったある出来事、それが『5億年後に意外な結末』とつながっていたり……。
――5秒後から5億年後につながっているんですか!?
目黒さん どうつながっているかは、ぜひ読んで確かめてください。どちらも読んだけど気づかなかった人には、ぜひもう一度読んでもらいたいです。
もちろん1冊の中にもそういったつながりはありますから、いろんな楽しみ方をしてください。
――人気の理由のひとつに、表紙絵があると思います。その制作についてもお聞かせください。
目黒さん あ、絵の前にひとつ。本の装丁そうていにも注目してほしいです。一見ふつうの児童書のように見えますが、表紙をハードカバー(中に厚紙が入った高級感のある本の製法せいほう)風にしているんです。
――ほんとだ! ハードカバーのような折り込みがありますね。
目黒さん あんまり気付かれないかもしれないけど、「子どもたちを『幼い』と見るのではなく、ちょっと背伸びしたいプチ大人」と考えたくて、大人っぽい重厚感を出してみました。
――こだわりが細かい……。
目黒さん そうなんです。そうそう、表紙絵ですよね。イラストレーターのusiさんにメインカラーとテーマだけ伝えて、あとはusiさんの妄想もうそうにお任せしています。
――具体的にはどんな感じですか?
目黒さん たとえば『5分後に意外な結末ex 琥珀(こはく)に閉じ込められた未来』のテーマカラーは、サブタイトルにちなんで琥珀色にしてもらい、ちょっと思わせぶりなフンイキで、とお願いしました。
¥1100/学研プラス
――琥珀=思わせぶりということですか?
目黒さん 琥珀=思わせぶりは僕のイメージ(笑)。「琥珀」とは樹液(じゅえき)が固まってできた宝石のことで、その中には虫や花が閉じ込められていることもあります。この本も琥珀みたいにステキなお話がたくさん閉じ込められていることを表現したかったんです。
――最後に、目黒さんから読者にメッセージをお願いします!
目黒さん 読者のみなさんは、「5分後シリーズ」を、お話の結末を予想しながら、つまり、本と会話しながらワクワクした気持ちで読み進めているんじゃないでしょうか。本って、一方的に読む(=書き手の話を聞く)だけのものではないと思うんです。読書を好きになるヒケツは、本との会話を楽しむことだと思います。「5分後」シリーズに限らず、これからもワクワクしながらいろんな本を読んでほしいです。
実は、今年の夏に『5分後に意外な結末1〜5』リニューアル版の発売を予定しています。いろんな仕掛けを加えてかなりパワーアップしているので、ぜひ手に取って、もう一度ワクワクしてください!
お話を聞いたのは…
学研出版 目黒さん
「5分後に意外な結末」シリーズの第1作目から本シリーズを担当。小、中学生が楽しく読める本を企画、制作しているよ。
https://gakken-ep.jp/extra/5fungo/
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
Text/Yoko Masaki
タグ: 本